それと、もし西部製綿という会社がダメになったとして、無一文になったとして、いわゆる四畳半一間の生活になったとしても(自分で会社を経営する立場になるということは、そういったリスクも考えないといけないと思うのですが)
『もし無一文になっても、この人と一緒なら幸せに暮らしていけるだろう。』と心底思えました。
そう考えたら怖れるものは何もなかったです。すっぱりと前向きに『婿養子として西部製綿を手伝う』と決断が出来ました。
私たちは平成13年の4月に結婚し、そのまま2年間カネボウ化粧品研究所に勤め、平成15年の7月に退社し、8月に西部製綿に入社しました。
妻のキャラクターがよく分かる一つのエピソードをご紹介します。
結婚して間もなくのこと。私たちはサッカーの国際大会『日本VSサウジアラビア』の試合を観戦していました。ちなみに私は大のサッカーファン。妻はサッカーに極めて無関心。なのにその日は妻も私と一緒になって一つ一つのプレーに『ワー』とか『ヨッシャ』とか歓声を上げながら真剣に見ている様子。私も内心『これで妻もサッカーに関心を持ってくれたかな』と思っていた矢先。前半15分くらいだったでしょうか。妻がこう質問してきました。
『ねぇねぇ、ところでどっちのチームを応援してるの?』
日本とサウジアラビアのどちらを応援しているか?なんてサッカーのことを知っているとか、関心があるとかとは全く次元の違った話ですよね。
そうなんです妻は天然ボケなのです。
天然ボケにして、おっとり暢気。しかし根はとてもしっかりしている。そして常にプラス思考。そして何より家族思い。慣れない環境で仕事をしている私を、決して出しゃばることはなく、でも私が突っ走りすぎた場合には上手くブレーキを掛けてくれ、常に日に陰にサポートしてくれました。
わりと感情の起伏の激しい私に対して、いつものんびり動じない妻。嫌な事があってカリカリしている私の横で、まるで春風に吹かれているように平然としています。そんな妻がいたからこそ、私はこうして見知らぬ香川で13年間もふとん屋を続けることができたのだと思っています。
(続く)